第15回AT研究会オープンアカデミックセッション(ATOS15) †日時:2016年10月24日(月) 15:00~17:30 (14:45より開場) 講演1. 15:00~16:00 †題目: リソース指向型ストリームデータマイニング法の高度化に向けて †講演者: 山本泰生(山梨大) †概要: †近年、IoTやクラウドサービスの発展に伴い、気象、小売 (POS)、製造、医療等 の多岐にわたる分野において、多種多様のストリームデータが生み出されてい る。この種のデータを扱うデータマイニング法は、その応用可能性から近年注目 を集めている。他方、ビッグデータ時代を迎える今日、対象データの大規模化が 急速に進んでおり、マイニング法の高速・省メモリ化が求められるようになって いる。本発表では、当該分野の基礎問題に位置付けられる頻出パターンマイニン グを取り上げ、ストリームデータ特有の問題点を概説した後、これらにアドレス するためのリソース指向型近似法を紹介する。この手法は個々の頻出パターン候 補を漸近的に生成していくシンプルな逐次法であり、分散並列化によるウィー ク・スケーラビリティの改善が見込める。本発表の最後に、OpenMPを用いて分散 並列化する最近の取り組みを紹介する。 講演2. 16:00~16:30 †題目: 京を用いたタイルCAQRアルゴリズムの性能評価 †講演者:高柳雅俊(山梨大学D1) †概要: †MPI/OpenMPハイブリッド並列化したタイルCAQRアルゴリズムを京を用いて性能評 価を行った。 これまでに、上三角部分のリダクション演算のスケジューリング方法として4種 類のスケジューリングを行い、FX10上に実装及び性能評価を行った.今回は上記 のスケジューリング方法をより大規模な環境で測定を行うために、京上での性能 評価を行った。 また、クラスタシステム上でのタイルCAQRアルゴリズムの性能を向上させるため に、データの分散方法として1-Dサイクリックデータ分散の実装を行った。 発表ではデータ分散方法、スケジューリング方法、MPIプロセス数やOpenMPス レッド数、タイルサイズを変化させたときの性能評価について報告する。 講演3. 16:30~17:00 †題目: SA-AMG法におけるニアカーネルベクトルを用いることによる収束性の改善 †講演者:野村直也(工学院大M2) †概要: †大規模連立一次方程式を高速に解く解法としてSA-AMG(Smoothed Aggregation – Algebraic Multigrid)法がある.SA-AMG法は,与えられた問題行列から粗い問 題を階層的に生成し,それを用いることで高い収束性を実現している.ここで, 粗い問題を生成する際にニアカーネルベクトルを用いることで,収束性を高めら れることが知られている.3次元弾性体の問題においては,ニアカーネルベクト ルとして平行移動成分と回転成分を指定することで,反復回数と実行時間双方で 改善がみられることがわかっている.そこで本研究では,3次元弾性体の問題に おいて,平行移動成分に加え,問題行列からニアカーネルベクトルを複数本抽出 することにより,さらなる収束性の向上を実現する最適なニアカーネルベクトル の設定手法を研究する.ニアカーネルベクトルの抽出はV-cycleの段階で行い, 抽出するニアカーネルベクトルの本数を変化させることで,反復回数と実行時間 の改善がみられるかを実験により検証した.その結果,問題の規模や性質に応じ て適切なニアカーネルベクトルを指定することにより,平行・回転成分を指定し た場合よりも反復回数を最大1/3に抑え,実行時間も約半分とすることができる ことがわかった. |