*第13回 自動チューニング技術の現状と応用に関するシンポジウム(ATTA2021)[#xd541db2]
'''13th Symposium on Automatic Tuning Technology and its Application (ATTA2021)'''~

- 日時:2021年12月13日(月)10:30-17:00
- 場所:Zoomによるオンライン開催
- 参加無料
- 参加登録:終了しました.47名のご登録がありました.ご参加下さった皆様ありがとうございました.
--Zoom接続先URLはフォーム回答後に表示されるほか,開催前日ごろにメールで改めてご案内いたします.
--&color(red,){当日参加可能です};:12/12以降にご登録の方へはZoom接続先URLをメールでお送りできない可能性がありますので,念のためGoogleフォーム回答後に表示されるZoom接続先をメモしてください.
- 講演の録画・後日の配信は致しません.
- 途中から・部分的な参加も歓迎いたします.

***概要 [#aa4d426c]
 自動チューニング(Automatic Tuning:AT)は,ソフトウェアに自らを最適化する機能を組み込むことにより,多様な環境において優れた性能を実現することを目指すパラダイムです.省電力と高性能の両立が重要な課題であるスーパーコンピュータから携帯端末まで,あらゆる分野の情報処理に適用できる技術となるよう,研究が進められています.~
 自動チューニング研究会では「自動チューニング技術の現状と応用に関するシンポジウム(ATTA)」と題して,自動チューニングに関係する研究プロジェクトの最新の研究成果を報告し,その応用と将来の研究展望を議論する場として,誰でも参加可能なシンポジウムを例年開催しております.今回で13回目となるATTA2021では,例年通り研究会員による自動チューニング関連の研究プロジェクトからのご講演に加えて,本年9月18日に本研究会会員が執筆した[[「ソフトウェア自動チューニング: 科学技術計算のためのコード最適化技術」:https://www.morikita.co.jp/books/mid/087221]](森北出版)の出版を記念した講演を行います.また招待講演として,近年注目されている技術であり自動チューニングへの応用も期待される「説明可能なAI」(Explainable AI: XAI)に関するご講演を頂きます.自動チューニング技術および高性能計算の最新動向にご興味のある多くの皆様のご参加をお待ちしております.

**プログラム [#s429f3a3]
-最終更新:2021年12月11日

:10:30-10:40 オープニング|滝沢寛之 (自動チューニング研究会主査・東北大学)
:10:40-11:00『AT研究コミュニティで開発されたソフトウェア群と今後の展望』【「ソフトウェア自動チューニング: 科学技術計算のためのコード最適化技術」出版記念講演】|片桐孝洋(名古屋大学)
::講演概要|本講演では、書籍「ソフトウェア自動チューニング 〜 科学技術計算のためのコード最適化技術」中で紹介されている、自動チューニング(AT)研究会のメンバーによるATソフトウェアについて概観する。具体的には、ATツール、AT機能付き数値計算ライブラリ、および今後AT付加が期待される数値計算フレームワークや基盤技術に分類されるが、これらの機能について紹介する。また、これらの進展や展望についても述べる。
::講演スライド(PDF)|[[20211213-ATTA2021_Katagiri_ATBook.pdf>https://atrg.jp/ja/index.php?plugin=attach&pcmd=open&file=20211213-ATTA2021_Katagiri_ATBook.pdf&refer=ATTA%202021]]
:11:00-12:00 『説明可能なAI』【招待講演】|鈴木健二(シニアマシンラーニングリサーチャー,ソニーグループ(株)R&Dセンター)
::講演概要|本講演では、ブラックボックスと言われる機械学習モデルの判断根拠を提示するための説明手法について紹介します。高精度な認識が可能な機械学習モデルは、その判断理由を人間が理解することは困難です。近年、機械学習モデルを人間が理解できるように、様々な説明手法が研究されています。本講演は、その社会的背景としてのAI倫理と技術、アルゴリズムの概要、近年の動向や課題などを包括的に取上げます。説明可能なAIの技術については、判断根拠の可視化手法のみならず、機械学習モデルへのデータの影響度を利用したデータクレンジングやミスラベル検知、データの不確実性などについて広く取上げます。また、説明可能なAIを実際に活用するために、GUIによるディープラーニングツールNeural Network Consoleや、オープンソースソフトウェアによるResponsible AIライブラリについても紹介します。
::講演スライド(PDF)|[[20211213_ATTA2021_Explainable_AI_Kenji_Suzuki.pdf>https://atrg.jp/ja/index.php?plugin=attach&pcmd=open&file=20211213_ATTA2021_Explainable_AI_Kenji_Suzuki.pdf&refer=ATTA%202021]]
:12:00-13:30 昼休み|
:13:30-14:00『革新的基盤ソフトウェア「h3-Open-BDEC」の「Wisteria/BDEC-01」上での開発状況』|中島研吾(東京大学/理化学研究所),岩下武史(北海道大学),八代尚(国立環境研究所),長尾大道(東京大学),下川辺隆史(東京大学),松葉浩也(東京大学/日立製作所),荻田武史(東京女子大学),片桐孝洋(名古屋大学)
::講演概要|中島等は,エクサスケール時代のスーパーコンピュータによる科学的発見の持続的促進のために,計算科学にデータ科学,機械学習の知見を導入した(計算+データ+学習)融合による革新的シミュレーション手法を提案している。本研究では,最小の計算時間・消費電力での融合の実現のために,①変動精度演算・精度保証・自動チューニングによる新計算原理に基づく高性能・高信頼性・省電力数値解法,②機械学習による階層型データ駆動アプローチの二項目を中心に研究し,革新的ソフトウェア基盤「h3-Open-BDEC」として整備する。本研究は,2021年5月より東京大学情報基盤センターで運用を開始した,Wisteria/BDEC-01(「計算・データ・学習」融合スーパーコンピュータシステム)をターゲットとしている。本講演では,これまでの研究経過とともに,Wisteria/BDEC-01上での革新的基盤ソフトウェア「h3-Open-BDEC」開発状況について実例とともに報告する。
:14:00-14:30『自動性能チューニング機能を持つ高性能グラフライブラリの開発』|中尾昌広(理化学研究所)
::講演概要|ソーシャルネットワークや創薬などの様々な分野において、計算機上でデータの関係性をグラフ構造として表現し、それを高速に解析する試みが盛んに行われている。しかしながら、既存のグラフライブラリの研究の多くは特定のグラフや計算機システムを対象としているため、ユーザの性能チューニングの負担が問題となっている。そこで、本研究課題では自動性能チューニング機能を持つグラフライブラリを開発する。ユーザが利用したいグラフおよび計算機システムに応じて、適切なグラフアルゴリズムと高速化手法を自動的に選択・利用可能にする。この機能により、ユーザの性能チューニングの負担を省くことが可能になる。
:14:30-15:00『持続型例外処理機構の設計と実装方針』|八杉 昌宏 (九州工業大学),江本 健斗 (九州工業大学),平石 拓 (京都橘大学)
::講演概要|安全な計算状態操作機構は,C言語などの実行スタック中に眠る呼び出し元の変数の値への合法的アクセスを提供するもので,高信頼・高性能な高水準言語のための,ごみ集め,一級継続,動的負荷分散といった,計算状態の動的再構成を必要とする高水準サービスの効率的実装を可能とする.入れ子関数の形態をとる場合,クロージャを生成し,それへのポインタを用いて間接的に入れ子関数を呼び出すことで,クロージャ生成時の環境に含まれる変数へのアクセスが可能となる.一方,新しい形態として設計中の持続型例外処理機構は,非局所脱出することなく例外ハンドラを呼び出せるとしたもので,ポインタではなく動的スコープに基づく.本発表では,コア言語を利用した設計と実用上の実装方針について述べる.
:15:00-15:15 休憩|
:15:15-15:45『固有値計算のための高性能精度保証ライブラリの開発:最新成果と自動チューニング機能』|片桐孝洋(名古屋大学)
::講演概要|固有値計算は科学技術計算の根幹をなす処理の1つであり、数理的にもソフトウェア的にも多くの研究がなされている。しかしながら、演算精度を保証したうえで、高い実行性能を保つソフトウェア開発は必ずしも多くない。そこで本講演では、学際大規模共同利用・共同研究拠点(JHPCN)で採択された2021年度国際課題において研究されている固有値計算に関する高性能精度保証ライブラリの最新成果と自動チューニング(AT)機能について紹介する。高性能を達成するためのAT機能は当該ライブラリでも重要な機能であるが、ここでは機械学習を数値計算ライブラリの性能チューニングに適用した場合において適切な結果が得られるかを、説明可能なAI(XAI)ツールを用いて分析した事例を紹介する。
::講演スライド(PDF)|[[20211213_ATTA2021_Katagiri_Eigen.pdf>https://atrg.jp/ja/index.php?plugin=attach&pcmd=open&file=20211213_ATTA2021_Katagiri_Eigen.pdf&refer=ATTA%202021]]
:15:45-16:15『精度自動チューニングに向けた基盤技術の検討』|椋木大地(理化学研究所)
::講演概要|計算精度を削減することで性能(速度・電力消費・メモリ消費等)を改善しようとする混合精度計算法が研究されている.ソフトウェア開発においては,アルゴリズムの数理的な側面から精度削減を正当化するアプローチが一般的である.一方で,混合精度計算の理想形として,ユーザがあるアルゴリズム(コード)と希望する計算結果の精度を与えた時に,そのコードの演算・データの精度を,性能が最大になるように自動で最適化する「精度自動チューニング」が考えられる.既にそれに向けた研究は幾つか行われているが,実用化にはいくつかの課題が指摘できる.本講演では既存手法の課題を整理し,実用化に向けた研究の方向性を検討する.
:16:15-16:45『低精度演算を活用したGMRES(m)法の研究』|深谷猛 (北海道大学, JST さきがけ),Yingqi Zhao(北海道大学),岩下武史(北海道大学)
::講演概要|低精度演算の活用による数値計算アルゴリズムの高速化が活発に研究されている.本発表では,大規模疎行列を係数とする連立一次方程式に対する代表的反復解法の一つであるGMRES(m)法に関する我々の取り組みを紹介する.GMRES(m)法が有する反復改良法の構造に着目することで,自然な形で低精度演算を導入し,混合精度型のGMRES(m)法が得られる.そこで,低精度演算部分の精度を変化させ,アルゴリズムの挙動や最終的に得られる解の 精度等を数値実験により検証する.そして,得られた実験結果から低精度演算活用の指針・可能性について検討する.
:16:45-17:00 クロージング|椋木大地(交流促進委員幹事・理化学研究所)
:17:00- 懇親会|同じZoomチャンネルを引き続き利用可能にしますので,場外議論および懇親会の場としてご自由にご利用ください.

**主催 [#xe47a7da]
-自動チューニング研究会
-科研費 基盤研究(S)「(計算+データ+学習)融合によるエクサスケール時代の革新的シミュレーション手法」(#19H05662)(研究代表者:中島研吾)
-科研費 基盤研究(B)「自動性能チューニング機能を持つ高性能グラフライブラリの開発」(#21H03450)(研究代表者:中尾昌広)
-科研費 基盤研究(B)「高性能・高信頼な高水準言語の実装向け持続型例外処理機構の理論と実践」(#19H04087)(研究代表者:八杉昌宏)
-学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点 2021年度採択課題(jh210002-NAHI)「Developing Accuracy Assured High Performance Numerical Libraries for Eigenproblems」(課題代表者:片桐孝洋)
-科研費 若手研究「超並列計算環境のための高精度かつ再現性のある行列計算ライブラリの開発」(#19K20286) (研究代表者: 椋木大地) 
-JST さきがけ「革新的コンピューティング」「低精度・低信頼性演算を活用した数値計算アルゴリズムの創出」(#JPMJPR20M8)(研究代表者:深谷猛)~
(発表順)

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お問い合わせ:椋木 大地(理化学研究所)
E-mail: daichi.mukunoki あっと riken.jp~
「あっと」を半角@に変換してください.

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